累積登坂高度は9,200mという、かなりキツめのレース。
制限時間はかなりキツい
誰もがUTMFよりも厳しいと言う。今年は、全体の制限時間は35時間と今まで同様だったものの、各関門の制限時間がちょっとずつ早くなった。僕のように、ギリギリのタイムでようやく完走出来るレベルの選手にとっては、かなり条件が厳しくなった。
長いレースゆえ、ボランティアやスイーパーなどの負担が大き過ぎるのでこれを軽くするための措置だと思う
3回目の参加
2014年(当時は、距離は短かった。確か110kmくらいだっただろうか)、昨年2017年と完走していて、今回は3回目。昨年は、制限時間の30分前にギリギリでフィニッシュという体たらくだったので、今年は余裕をもって完走したいと思っていた。
昨年よりも直近半年間くらいの練習量は多く、山にもたくさん行っていたと思うが、ちょっと仕事が混んでいる時期であり、直近1ヶ月間くらいの練習量は激減していたのが不安要素だった。
老神温泉に前泊
いつもの宿に投宿。夕食は、ぎょうざの満洲にて。
早めに床に就いて、すぐに寝入ったものの、また目が覚めてしまい、そこからは眠れず。
やはり緊張していたらしい。
2時半に起床。
5時、払暁のスタート
昨年は、パラパラ降ったり止んだり、という天気だったが、今年は予報を見ても、雨の心配は皆無。
(実際には、さすが山の天気。ちょっとだけパラっときた瞬間はあったけど)
気温も高め。
スタート前は涼しく感じたけど、走り出したら何ともない。
序盤の渋滞、今年は酷い
シングルトラックに入ったら、早速渋滞する。
昨年よりも序盤の渋滞はひどかったような気がする。
県立森林公園21世紀の森。
アイウェアのレンズを、夜用のイエローからスモークに換装した。
昨年は、雨の直後だったためにぬたぬたの路面コンディションで、ロープに掴まってずるずる滑りながら降りた箇所。
今年は、多少はぬかるんでいたものの、昨年ほど酷い路面ではない。
その割りには、渋滞がひどい。
A1 川場スキー場第4駐車場
やっと第1エイドだ。
ここで、スイーパーのOカノさんにお会いする。
昨年もスイーパーをやっておられて、ちょうどここでお会いした。
昨年は、ほとんどビリッケツだったのだが、今年はそれほどこの時点での順位は下ではない。
昨年よりも、走れている感じがする。
特に、ゆるい登りは苦もなく走れている。
この1年間の山練の成果かと思う。
しかし、眠れなかったせいもあって、ちょっと頭がだるい感じがする。
川場スキー場の中の仮設トイレ。
このトイレは、レース運営者が設置したものではなく、スキー場が常設しているものらしい。
昨年は、ここでトイレ(大)をしているうちに、スイーパーに追い抜かれそうになったものだ。
今年もちょっと借用しようと思ったのだが、鍵がかかっていた。
1つ目の大ピーク、剣ヶ峰へ。今年はヒル多発注意
標高2,000mの剣ヶ峰へと登る。スタート地点の川場村役場が、標高500mほどなので、1,500mアップすることになる。
だんだん気温が上がってくる。
ほどほどに渋滞。
スタート地点から剣ヶ峰までの区間は、夏はヒルが出没する。
このレースの時期は、例年ならば被害は収まっているはずなのだが、今年はヒル多発の注意喚起が出ていた。
ヒルは嫌だなあ。
レース中だから火気は持っていないので、吸い付かれても取ることが出来ないし。
スタート前に、足にヒル忌避スプレーを吹きまくっておいた。
スタート地点では、塩水スプレーが大量に用意されていて、自由に使えるようにもなっていた。
幸いなことに被害はなし。
周囲でも、ヒルに吸われたという人はいなかったようだ。
川場スキー場のゲレンデ脇のコース。
樹木は、ちらほらと紅葉しかけている。
相変わらずの渋滞。
自分のペースで走れない。
渋滞度合いは、昨年よりもひどい
川場スキー場の最上部が見えてきた。
けっこう山の上の方までスキー場として開かれているんだね。
渋滞は酷く、下りでは流れが止まってしまうほど。
遅い選手がいて、せき止めてしまっているのだろう。
レースなので仕方がないが、関門タイムが気になりだしてくる。
標高2,000mの剣ヶ峰が間近に見えてきた。
剣ヶ峰から下りへ。
ここからの見晴らしは良い。
遮る山がないので、ぱーっと遠くまで見渡せる。
相変わらず、しばらくは渋滞が続いたが、林道に入る頃には解消した。
水上宝台樹スキー場のゲレンデに突入。
まもなく、A2 宝台樹スキー場へ。
このスキー場の広大な駐車場では、ドリフト練習会が開かれていて、キュルキュルとスキル音が聞こえる。昨年もやってたな。
夏のアクティビティとして、レンタルの4輪バギーが走り回っていて、リア充な若者グループがすごく楽しそうだ。
スキー場のゲレンデの直登
A2を出て、宝台樹スキー場のゲレンデを登る。
このレースでは、何回かスキー場のゲレンデを直登する。
これがイヤだ、という人もいる。
僕は個人的には、嫌いではない。むしろ好きかも。
なんで?と聞かれても説明しにくいが、先まで見渡せるから、どこまで登ればいいのか一目瞭然だし、一歩一歩踏みしめてクリアしていく感覚が好きなのかもしれない。
いよいよ武尊山へ
2つ目の大ピークである、武尊山へ。標高2,200mで、1,200m upする。
武尊山登山口。
トレイルでは、多くのハイカーとすれ違った。
しばらくはゴツゴツした石敷きの林道を行く。
険しい登り。
しんどい。ペースは上がらない。
それほどぬかっていないのが幸いだが、滑って転び、いつの間にか尻や手足は泥だらけになる。
やっと武尊山
ガスっていてさっぱり眺望が利かない。
座って、コンビニおにぎりで休憩だ。
ガスった中をトラバース。
A3 ほたか牧場で日没
47.1km地点のエイド。(写真なし)
制限時間がきつい。
30分間しか余裕がない。
エイド食に、かぼちゃの煮付けがあり、さすがにレース中に食欲をそそる食べ物ではないので、あまり食べている人はいないようだった。けっこうおいしかったけど(笑)
昨年と同じく、ここで空は暗くなり、アイウェアのレンズをスモークからイエローに換装した。
昨年は、ひどい泥濘で足が泥だらけだったため、このエイドの水道で靴をじゃぶじゃぶ洗った記憶がある。今年は、寒くてそれどころではない。
真っ暗なスキー場のゲレンデを行く
真っ暗なスキー場。
所々にフラッシュライトが設置してあるので、道に迷う心配はないが、前走者の存在は心強い。
登りはいいが、下りは意外と怖い。ゲレンデには、時々、排水のための横溝があるのだ。
A4 かたしな高原スキー場。
まだ半分も走っていないのか。
この時点では、制限時間までの余裕は1時間半に拡大していた。いいぞ。
W2 十二社ウォーターエイド。
A5 オグナほたかスキー場で大休止
75.5km地点の大エイド。ここでは、預けておいたドロップバッグを受け取れる上に、仮眠所もある。
コンタクトレンズを取り外し、スマホとGPSウォッチをバッテリに繋いで充電のセットをして、アラームをセットして、毛布をかぶって午前2時まで、1時間半眠る。
熟睡には程遠いが、しっかり休みを取ることが出来た。
靴下と靴を履き替え、ストックを装備し、カレーライスをたっぷり食べて出発だ。
(ストックは、A5までは使用禁止)
制限時刻が02:45なので、これまでの貯金を吐き出してしまったことになるが、じっくり休みを取ることを優先した。
ここで眠らないと、いずれどこかで眠気はやってくる。路上で中途半端に横になるよりは、エイドの仮眠所で眠った方がいい。
A5を出発するタイミングで、ゲレンデを振り返ってみると、今まさにゲレンデを降りてくる選手たちがいた。
眠ったせいもあって、寒い。
深夜なので、気温もかなり下がっている。
上だけ、今回のために新調したモンベル バーサライトを着たのだが、すぐに身体が暖まってきて、脱いだ。このレースを通じて、カッパを着たのはこの時だけだった。
夜が明け、眠い。ひたすら眠い
A6 赤倉林道分岐。
85.1km地点。
まだまだ先は長い。
夜が明けてくる。
しばらく、舗装路の移動区間。
眠くてたまらない。
眠いと、足が重くなってきて、ペースが落ちる。
どんどん、他の選手に抜かれていく。
いつの間にか、後ろにスイーパーが張り付いていて、ビクッとした。
ええっ!?俺、こんなに遅いの??
桐の木平キャンプ場を通過する。
ここには半オフィシャルエイドがあり、バンガローの中で毛布を借りて仮眠が出来る。
昨年は40分間仮眠したのだが、今年はまったく時間の余裕がない。
かなり厳しい。
W3を通り過ぎる時は、交代のために待機していたスイーパーの一人が、「えっ?リタイアしないで行くの?」みたいな反応を示した。失礼なやつだな。
朦朧としながら歩く。
歩く。
ふと気がつくと、立ったまま寝ている。
歩く。
また、寝ている。
このエンドレスの繰り返し。
いつものように、自然の中にバスや建物などの人工物が見えてくる、という幻覚が見えてくる。
関門の制限時間のきつさを改めて実感しつつ走る
冒頭述べたように、トータルでの制限時間は35時間と変わらないのだが、後半の関門制限時間が少しずつきつく設定されている。もちろんそれを認識していたが、こんなにきついとは思わなかった。
ホントにきつい。
トレイルがぬかるんでいない分、昨年よりはイージーなはずなのに。
制限時間がきつい。
ふと気づくと、もうダメかも、どうやって言い訳しようか、と考えている。
ほぼ登りきったところで、眠気の峠を越した。
身体中に力が戻ってくる。
次の関門まで、まだイケる、と判断し、全開でかっ飛ばす。
さっきまで眠りながら歩いていたのに、復活した自分の身体が気持ちよく、全力で走ることにも不安は感じない。
この下り区間では、昨年はハチが追いかけてきて泡食ったが、今年は大丈夫だった。
そして、
A7 太郎大日堂へ。
107.9km地点。
スイーパーのOカノさんにお会いする。
ここまで来たら、もう完走は大丈夫だよ!と励ましてもらう。
休憩する時間的余裕はないので、すぐに出発。
気分と体調には波がある。調子いい時は、休まずに進んだ方がいい。
Oカノさんに挨拶して、すぐに出発。
わずか二言三言話すだけでも、元気になる。
最後の区間に突入
もう眠気は去った。しかし、登りがキツイ
疲れている。
気分や体調に波はあるが、それとは無関係に蓄積していく疲労もある。
疲労がかなり溜まっている。
エイドで追い越した選手たちにどんどん抜かれていく。
登りの歩きで、ペースが上がらない。
僕は、登り足が売り切れになっても、下り足はまだ残っていることが多い。
ピークまではガマンだ。
そこからかっ飛ばそう。
そして、ピークを越える。
あとは、緩やかなアップダウンはあるものの、ほぼ下りだ。
完走できる!と確信した。
熊遭遇、レース中断
完走を確信し、軽い足取りで下り基調のトレイルをかっ飛ばす。フィニッシュゲートまであと8kmというところで、二人の選手がコース上に座っていて、
「ストップ!この先で熊が出ました」
と。
ああ、やっぱりね。と思った。
うっそうとしたクマザサ地帯で、時々、パキパキと枝が折れる音や、何かの動物がザザーッと滑り落ちる音が左右に聞こえていた。
もちろん、レギュレーション上も必須の熊鈴は装備していたが、なんか熊っぽいなあ、と思っていたところだった。
前の選手が運営事務局に電話連絡し、待機せよという指示を受ける。
(先方は、何人か来るまで待って、大人数で固まってその区間を過ぎるように、と、一般論としての忠告をしただけのつもりだったようだが、その場にいた選手たちは、レース中断・待機の指示と解釈した。)
選手が5人溜まり、スイーパーもやってきたので一団となって下る。
もはや時間的に、35時間という制限時間内にフィニッシュゲートまでたどり着くのは不可能だ。
運営事務局内でも混乱があり、コミュニケーションミスが生じていることが明らかだったので、フィニッシュしてから団体交渉することとして、バラけずに全員同時にフィニッシュした。
36時間かかったが、完走扱いで、ITRAポイントももらえることに
運営事務局側にミスがあったということで、既に事務局側も撤収準備に入っていたところだったが、完走扱いになった。後日送られてきた完走証における完走時間は、35時間00分00秒(笑)
まあ、こういうことはあるよね。
事務局のスタッフもほぼ全員がボランティアだろうし、連絡ミスや判断ミスが生じることはあり得る。
お詫びということでもらったお風呂チケットで入った温泉から出たら、もう真っ暗だった。
クルマの中で4時間仮眠してから帰宅。
いやー疲れた。
そして、このかなりハードなレースを再び完走できたことに、大いに自信を得た。
前半のA5まで
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後半のA5以降
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