槍ヶ岳まで(3日目の朝)までは、大学時代のチャリ部の同期であるS君と同行し、それ以降はソロ。
1日目 上高地→横尾
S君のクルマで沢渡駐車場へ。10:30到着。シャトルバスで上高地。
目の前で出発するバスを1本逃してしまったが、この時季は頻繁に出発していた。
上高地でバスを降りたところ。
S君は、新品のザック、新品のテント。
まだまだ余裕。
徳沢までは、ジーンズに街履きスニーカーといった格好の日帰りハイカーも多い。
天気良く、日差しは暖か。
早朝に家を出てきたために眠気を催し、歩きながらうつらうつらしてしまう。
徳沢の気持ちいい芝生のキャンプ場で、木陰を探してゴロンと横になり、しばし昼寝をしてしまった。
S君は小屋で買ったビールを飲んで待ってくれていた。申し訳ないことしたな。
横尾に15:00到着。
初日は横尾までで終了。
物足りないが、もう一つ先のテン場までは距離があり過ぎる。
初日なので、足慣らしといったところだ。
酒を飲んでまったりする。
ゆっくりメシを食い、だらだら話してたら、大粒の雨!
解散して、各自のテントへ。
2日目 横尾→殺生ヒュッテ→槍ヶ岳小屋、槍ヶ岳山頂アタック
04:30起床。まだテントの中は暗い。
睡眠不足気味だったせいもあり、雨のテン泊にしてはよく寝た。
夜は暖かく、上は半袖Tシャツのみ。ダウンシュラフは、夜半に足を突っ込んでお腹まで引き上げれば十分な程度だった。
横尾は、まだ山の入口とでも言うような場所で、ここでのんびり朝の時間を過ごすのはもったいない、さっさと山に出かけよう!と考える人が多いのだろう、テントを撤収する音が喧しい。
朝ごはん。
S君が座っている辺りは、中高年ハイカー4人組集団がテントを張っていたのだが、かなり早い時刻に出発していった。
07:00、僕らも横尾を出発。
このテン場ではかなり遅い方だ。
テントは夜露だけではなく、雨で濡れていた。
横尾からシングルトラックになる。
ハイシーズンなので、ハイカーだらけ。
写真を撮るS君。
S君の後ろ姿。
S君とは大学入学以来だから、26年間の付き合いだ。
アニメ一休さんの歌を歌ったり、バカ話をしたりしながら進む。
雲の量は多い。
S君の水が足りず、水を買おう、と、ちょっと回り道だが殺生ヒュッテに寄った。
雲量は多いが、一瞬晴れた間に、槍ヶ岳をパチリ。
槍ヶ岳小屋に到着。
ここはテン場が狭いので、さっさと手続きを済ませて、テントサイトを確保した。
稜線上のテントサイトは風が強い。
飛ばされないように、ペグをしっかりと打つ。
濡れていたテントも、すっかり乾いた。
落ち着いたら、槍ヶ岳の山頂アタックにでかけよう。
残念ながら、ガスってるけど。
槍ヶ岳小屋から山頂までは、「すぐそこ」といった距離だが、ハイシーズンは大渋滞している。
往路と復路が別々に設定されているのだが、基本的に、鎖場メインなので、ちょっとでも慣れていない人がいると、ボトルネックとなって詰まってしまう。
人が多いゆえに落石も怖い。
岩場、鎖場は、なんてこと無いルートなのだが、人が多いことが怖い。
人気の山なので、練度が低いハイカーも多いし。
よく考えてみたら、ヘルメットはザックの中に入れる必要はなく、あご紐でリュックの外側にくくりつけておけばいいんだけど。
尚、槍ヶ岳小屋で有償レンタルサービスもやっているようだ。
槍ヶ岳山頂へ。
一瞬晴れた合間に、北鎌尾根が目の前に開け、果敢にアタックしているグループが見えた。
山地図では、点線になっているルートだ。
小屋へ下山。
あ、晴れた。
ビールを飲んでまったりする。
メシの時間。
3日目 S君と別れソロに。槍ヶ岳小屋→双六岳→黒部五郎小屋
稜線上の吹きさらしのテン場ゆえ、一晩中、風が強くてたまらない。バタバタとテント全体が揺れ、よく眠れない。
いろいろな変な夢を見る。
05:00起床。
目覚めるが、スッキリしない。
風は朝には収まると期待していたが、弱まりもしない。
テントの中から湯を沸かして、朝ご飯。
テントを撤収するS君。
奇しくも、僕もS君も、同じくモンベルのバーサライトだ。
僕のは2013年に買ったものだが、S君のは2018年モデルだ。
5年の違いは歴然としており、かなり使いやすく細かいところが改良されている。しかし、素材の違いは分からないな。
最近、モンベルというのは本当にすごいメーカだな、と実感する。
デザインや色合いはダサいのだが、愚直にカイゼンを施していく企業姿勢や、ユーザへの丁寧なアフターフォローは、それらを補って余りある。
さて、テン場を撤収し、交通費を精算し、握手してS君と別れた。
彼は、上高地に降り、沢渡駐車場でクルマに乗って長野の実家に帰る。
僕は、一人、先へ進む。
この時点では、かなり雲の量は多いものの、まだ晴れ間ものぞいていた。
双六小屋が見えてきた。
なだらかな谷間に位置する大きな山小屋だ。
テン場も広々していて、気持ちよさそうだ。
水場の水はフリーだったが、休みもせずに通過。
双六岳の山頂ルートか、巻道かの分岐。
山頂へ。
この辺りで、悲劇が襲う。
手持ちの唯一の(スマホを除く)カメラであった、NIKON keymission80が、電源を入れてシャッターを押した瞬間、シャットダウンする。それ以降、この山行を通じて二度と電源が起ち上がらなくなってしまった。
これはヒドい。
かなり凹む。
(これ以降の写真は、全てスマホで撮ったもの)
双六岳の山頂。
せっかくの山頂だけど、ガスってて何も見えない。
雪渓が見える。
晴れてれば気持ちいい稜線なんだろうけど、天気が悪いとすべてが台無しだね。
黒部五郎小屋が見えてきた。
そして、小屋に13:00到着。
まだ全然早い時間だけど、この先、次の小屋まではかなり距離があり、ちょっときつい。
ここでこの日の行程は終了することにする。
小屋は、水が無料だ。
しかし、テン場は、小屋からちょっと離れている上に、ごつごつした岩場をクリアして行かないとならない。
まだ13時だけど微妙な斜めっているテン場は結構埋まっていて、それなりの場所を確保してホッとしたのもつかの間、後から後からハイカーがやってきてどんどんテン場は埋まっていった。
テントを張っているときから、雨が降ったりやんだり。
しかも、大粒の雨。
小さな虫(ヌカカ?)も多くて、かなり刺された。
ここのテン場は、ケータイの電波が通じない。
4日目 黒部五郎小屋→黒部五郎岳→薬師峠キャンプ場
夜中、何度か雨。風は、幸いなことにあまりなし。
毎晩、雨続きで嫌になる。
ここまでは、行動中に降られないのは幸いだったが、4日目は終日、雨だった。
立山まで行くつもりだったのだが、もう嫌になった、このまま下山しようかな、という気になる。
3時には、周りの殆どのテントがガサガサ音を立てて出発の準備を始める。
このエリアは、どこの登山口からも2日間くらいかかる山深いところなので、ガチ登山者しかいないんだろう。雨なのに。
何とか4時前に起床。
この時点では、雨は降ったり止んだり。
そして、テントを畳もうというまさにそのタイミングで、再びの雨。
テントを撤収して、小屋へ。
TJARの選手が2人いた!
トップグループだ。
あー、まだ服乾いてないや!とか言いつつ、テンションが高い。
元気いっぱいという感じで、静かに感動して、お断りした上で写真を撮らせてもらう。
TJARはホントにすごいレースだ。
予選をクリアしてこのレースに参加しているだけでもすごいし、雲の上の人たちという気がする。
僕なんかにとっては、憧れることすら許されない領域だと思う。
黒部五郎小屋から、黒部五郎岳のピークを目指す。
この時点では、かろうじて晴れ間ものぞいていたのだが。
すぐに雨が降り出して、終日、しとしと雨。
TJARの選手と頻繁にすれ違う。
すごい。
「頑張ってください!写真撮らせてください!」
と言って、写真をパチリ。
この方の写真、Facebookにアップしたら、たまたたま、前回のOMMでご一緒したHさんの中学時代の部活仲間とのこと。
気持ちいい稜線のはずなのだが、ガスっていて、しとしと雨だし、さっぱり楽しくない。
ハイシーズンゆえに、行き交う人は多いのが、幸いかな。
TJARの選手とたびたびすれ違い、元気と勇気をもらうが、ほんの数十秒しか長続きしない。
やはり、僕とは世界が違い過ぎる、と思う。
太郎平小屋が見えてきた。
朝の時点では、スゴ乗越小屋まで行くつもりだったのだが、雨ゆえにペースは上がらないし、17時くらいになってしまう。
日没前だが、ハイシーズンなので、テン場の場所が確保出来ないかもしれない。
そもそも、既に心折れていて、立山まで行く気力もない。
靴は、防水スプレーを吹きまくってきたおかげか、中はドライだが、そろそろ廃棄しようと思っていた使い古しのモンベル バーサライトは、中までびっしょりだ。
テンション下がる。
このまま折立に下山するか、先へ進むか?
折立に降りるとしても、最終バスには間に合わないので、登山口の無料キャンプ場に一泊することになるだろう。
迷ったが、進むことに。
太郎平小屋のちょっと先にある、薬師峠キャンプ場に12:00到着、雨の中、テントを張った。
すっかりテンションだだ下がり、立山まで縦走するつもりだったし、休みはあと2日間あり時間的余裕もあるのだが、すっかり気持ちが萎えてしまった。
明日は折立に下山しようと決意する。
天気予報によると久しぶりにぱっと晴れるようだが、もう一度落ちてしまったテンションはなかなか上がらない。
たとえ晴れようとも降りようと考える。
時間だけはたっぷりある。
余った食材を整理する、という名目で、豪遊する。
酒を飲みながらスモークサーモンをぺろり。
広々しているが、大きな石だらけでゴツゴツしていて、傾斜地にあるテン場。
この後、続々とハイカーがやってきて、テン場はいっぱいになった。
ふと気がつくと、周りの声が関西弁だらけであることに気がつく。
いつの間にか関西弁文化圏に突入したんだな、と思う。
大学生サークル集団に囲まれてしまったのだが、こいつらがとんでもない連中で、夜21時過ぎまでお喋りしてるし、つい僕も大きな声を出して注意してしまった。
5日目 薬師峠キャンプ場→折立へ下山
04:30起床。風もなく、雨も降らず、ダウンジャケット着るほど寒くもなく、快適に寝た。
そして、朝。
予報通り晴れた!
しかし、気持ちは上がらない。
晴れたものの、濡れたモノはまだ乾いていないし。
休みはあと一日あるのだが、もう下山する気まんまんだ
改めて、下山を決意。
テントの中から朝ご飯。
折立への下山ルート。
本当に久しぶりに晴れた気がする。
足は軽やかだ。
折立。
バスに間に合った。
富山市内で温泉に入って、新幹線で帰宅。