寒いのはとにかく苦手だし、どういうイベントなのか今ひとつ情報も少ないので、あまり興味もなかった。
今年は、ラン友のFJさんからお誘いを受けた。昨年のレースの模様を聞いてみると、イメージと異なり、キャンプ道具一式を背負ってガチで2日間走り回るトップ勢の人たちもいる一方で、多くの選手達は歩きメインでのんびり周るような感じであることが分かったので、参加することにした。
金曜夜に現地入り
毎年、会場が変わる。今年は、八ヶ岳南麓の野辺山、滝沢牧場が受付となっている。
詳しいフィールドは、事前には非公開となっている。
相方のFJさんと、そのラン友のHさん、Rさんペアとともに、4人で金曜夜に現地入り。
前日受付を済ませて、野辺山のペンションへ。
ガチレースの前夜はお酒を一滴も飲まないFJさんだが、今回はガチ酒盛りで、かなり気持ちよくなってから就寝。
この前夜の酒盛りも含めてのOMM。
エントリしたのは、score longの部
幾つかコースが分かれていて、scoreというのが、ロゲイニング。地図上に示されたポイントを、好きなように順番を決めて、時間内にできるだけポイント多く回ってくる。longとshortと、制限時間が長短異なる。
straightというのが、地図上に指定された順番でポイントを回る。こちらも制限時間があり、距離別に3種類くらい分かれているようだ。
僕らがエントリしたのはscore longで、
初日は7時間、2日目は6時間。
スタートは、かなり小刻みなウェーブスタートが設定されている。
ゆっくりスタート
スタート直前に、ビニールシートに封入された地図を渡される。
3万分の1という、特殊な縮尺の地形図をベースとしたもので、国土地理医院の5万図・2万5千図には載ってなさそうな細かい行き止まりの山道も全て書いてある。
最初からダッシュで走り出すような選手はいない。
ゆっくり歩いてスタート。
天気には恵まれた
1日目は降水確率が高め、なおかつ最低気温が氷点下の予報が出ていたのだが、レースの日が近づくに連れ、少しずつよくなり、結局、2日間、雨に降られることはなかった。風もなく、日中は日差しが暖かで気持ちがよいくらいだった。
さすがに、夏でも夜は寒さを感じるほどの、標高も高いエリアなので、夜は氷点下まで下がったようだ。
それでも、この時季の八ヶ岳南麓、野辺山高原というこのエリアにしては、恵まれた天候コンディションだったことと思う。
2週間前に捻挫した左足首に不安
古峯ヶ原トレイルレースで、ふかふかの落ち葉に着地した折に捻挫してしまった左足首は、まだ完調ではない。ここ2週間は、ジョギングはまったく出来ず、スイム練習しかやっていない。
1人で走るレースならば、DNSも考えたところだが、2人1組のレースなので、出来ればそれは避けたいところ。
ニューハレXテープで固めた上で、トレッキングシューズで走る(歩く)ことにした。
1歩も走らずに、100%歩く前提だ。
さすがに、見た限り、全ての選手がトレランシューズだったようで、トレッキングシューズで参加している人は僕くらいだったのではないかな。
「トレイルランニング」という言葉が生まれる前の、初期のハセツネでは、トレッキングシューズで山行スタイルの人はたくさんいたようだけど。
更に、トレッキングポールを使用した。
特に制限はないので、たまに使っている選手も見かけたが、地図とコンパスを手にポイントを探すというレースの性格上、あまり多くはなかった。
リュックのサイズは、35リットルで
コース上にエイドステーションは無い。水場もない。もちろん買い食いも禁止。
キャンプ地にも水しかない。
従って、テント、寝袋、食糧、ウェア類等一式を背負っていかなくてはならないので、皆、かなりの荷物となっている。
防寒ウェア類をどこまで持っていくか、最終的には現地判断することとして、35リットルリュックと58リットルリュックの両方を持っていき、35リットルにした。
他の選手も、だいたいこのくらいのサイズの人が多いようだった。
中には、カップルで参加していて、男性の方が大きい荷物を背負っている組もあった。
初日は、ロードメイン
スタート直後。
暑くなってきて、1枚脱いでリュックに仕舞う。
雉撃ち中のFJさん。
ポイントをゲット。
地図上のポイントは、ガチで走る人はともかく、歩き続けるレベルの選手ならば、それほど遠くに行けるものではなく、初日の範囲は、ほとんどロードだった。
底の硬いトレッキングシューズで、なおかつここ2週間ほどまったくラン練習をしていないので、足底が疲れた。
迷うポイントもなく、地図読み要素はほとんどない。
僕は両手にトレッキングポールを持って歩いたので、コンパスを用いての地図読みは、相方のFJさんにほとんど任せる形になってしまった。
1時間以上早めにキャンプ地へ
遠いポイントを無理に取ろうとして、制限時刻までに帰ってこれなかったら、ペナルティを課されてしまう。また、僕が左足首がちょっと痛かったこともあって弱気になってしまい、制限時刻より1時間以上早く、初日の行程をフィニッシュした。
サブ3ランナーのFJさんは物足りなそうで、申し訳ないと思う。
キャンプ地は、だだっ広い牧場の中の牧草地帯で、受付会場の滝沢牧場とは異なる。
OMMのためにレンタルした2人用のテントを張った。
奥の茶色の大きな前室のテントは、HさんとRさんの組のもの。
この牧草地は、見晴らしはいいかわりに、遮るものが何もなく、風が心配だったが、風はまったく吹かなかった。ありがたい。
この写真の頃はまだ日差しは暖かだが、それでも、じっとしていると空気が冷たく感じる。
ちょっと着替えるために靴を脱いでテントの中に入ったら、寒くてなかなか外に出る気になれなかった。
寒い夜は、鍋で温まる
幸いなことに雨は降らず、風も吹かなかったものの、それでも寒いものは寒い。Rさんが持ってきた鍋で豪華なメシ。
食材やらをほとんど相方と、Rさん・Hさんペアの3人に持たせることになってしまった。ありがたい。
Rさんは料理がお得意なので、全て任せきり。
ホットワイン、熱燗と酒を飲み続けるが、さっぱり酔わない。
夜が更けてきて、既に寝静まっているテントも多いが、遅くまで飲んで騒いでいるテントも少なくない。
早く就寝する選手たちのために、quiet areaが設けられている。
昨年の大会では、キャンプファイアが焚かれ、22時過ぎまで飲んで騒げたようだが、今年は会場の都合のためか、無し。
キャンプファイアの有無によって、レースの難易度は全く異なるw
僕らは、19時過ぎには就寝。
夜中は何度も目を覚ました。
ウェアリングなど
- 走行中
走らず歩き続ける前提で、トレランのときよりも暖かめの服装とした。また、汗をできるだけかかないように、素肌には上下ともにファイントラックのスキンメッシュを着た。
トレランではなく、トレッキングの時の服装そのまま、というイメージ。
上:
ファイントラック スキンメッシュ(長袖タイプ)
裏起毛 長袖SKINS
モンベル バーサライト
下:
ファイントラック スキンメッシュ
モンベルの夏向きトレッキング用の長ズボン
靴は、トレッキングシューズ
夜のテント。
- 寝る時
夜のウェアリングは、上記に加えて、
上:
+ユニクロのフリース
+ユニクロのダウン
下:
+ケシュアのペラペラのロングタイツ
+モンベル バーサライト
- 寝袋類:
モンベル エア枕
モンベル エアマット
モンベル ダウンハガー800寝袋#3(快適温度5度、リミット温度0度のもの)
SOL サバイバルビビィ(寝袋の外側に)
モンベル 冬用の手袋
さすがにここまで厳重にすれば、眠る時は、寒いということはない。
指先も温まってきて、冷たさは感じない。
むしろオーバースペック気味だったかもしれない。もう少し軽量化出来たかもしれない。
最も辛かったタイミングは、外でメシを食っているときで、指先が冷えて冷えてたまらない。
手は冬用の手袋をしているが、ちょっとした細かい作業(スプーンで食べ物を取って口に運ぶとか)の時に手袋を外すと、数十秒で冷たく痺れてくる。
足の指先は、走行中と同じく靴下1枚なので、これもたまらん。
朝方の最低気温は、分からない。
氷点下5度くらいだろうか。
敢えて水満タンのままテントの外に出しておいた水パックは、全部カチコチではなく、一部だけ凍っていた。
朝起きたら、サバイバルビビィの内側は結露してびっしょり濡れていた。
上下ヒートテックも持っていった(つもりだった)のだが、これは使わなかった。
ヒートテックは素肌に着ないと意味ない(らしい。と僕は理解している)ので、裸になって着替えるのは、正直、かなり面倒くさい。
しかも、上下それぞれもったはずなのに、何故かリュックの中には長袖が2枚入っていたw
2日目がスタート
朝5時起床。特にアラームをセットしていなくても、周りのざわめきで自ずと目が覚める。
朝ごはんは軽めに、アルファ米チャーハンなど。
風がないのがありがたい。
雲一つない快晴で、八ヶ岳に朝焼けが映える。
中腹の白いのは、木々の霧氷のようだ。
2日目は6時間。13時にはフィニッシュ
初日は、ロードが中心で、僕らのペースくらいの選手たちにとっては、ほとんどCPを選びようがなく、地図読み要素は低かった。2日目は、林の中の、地図上では等高線の上のCPなどを探した。
これは難しい。
ロードのリエゾン区間。
あまり使われていない林道。
牧草地への移動路かな。
すぐ脇を、鹿の家族が走り抜けていくのを見た。
道がないところをショートカット。
笹をかき分ける。
この辺りにCPがあるはず。
どうしても見つからず、諦めた。
おそらく、CPは地上60cmくらいの位置に設置されれいるはずで、笹に隠れて見えない可能性もある。
周囲にも多くの選手達がCPを探していたが、見つかったところで、ルール上、「こっちにあるよー」などと声を上げることは出来ない。
人がたくさんいる方向についていけば見つかるだろう、などという甘い考えは捨てた方がいい。
ほぼ定刻にフィニッシュ。
とにかく寒かった!
寒さが厳しかった。暑さは、それなりに気持ちがいいものだ。
炎天下の灼熱のレースには、それなりの達成感がある。
猛烈な湿度の高さの下、1秒毎に帽子の庇から汗を滴らせ、ゾンビの行進の如く一歩一歩踏みしめて峠を越えていくキタタン、こまめに設置してあるエイドの都度、水を飲み、名物のスイカを食べまくり、お腹がちゃぷちゃぷなのに、身体中の細胞に水分が行き渡るスピードが追い付かずに喉の渇きが止まらない珠洲トライアスロン、どのレースも、楽しいかどうかはともかく、キツかったなぁと思うと同時に、他では味わい得ぬ達成感があった。
しかしながら、寒さに耐えたところで、達成感はゼロだ!
これは今回の発見。
このイベント、夏に開催されればすごく楽しいと思うのだが、寒いのはどうも苦手だなあ。今回は風が吹かず、雨も降らなかったが、ちょっと天候コンディションが崩れていたら、スタートする気力すら起きなかったに違いない。
来年もまた出るか?
うーん、何ともw